運命を変えた一冊の本

出版プロデューサー・ライターの倉林秀光です。

私事で恐縮ですが、私は20代の前半から中頃にかけて、
解雇~転職~自主退職~転職~解雇……を余儀なくされたことがありました。
大学生のとき、パニック障害のように呼吸するのが苦しくなったり、
身体全体が激しくけいれんを起こす奇病を発症。
そのせいで満足に定職に就くことができなかったからです。
面接に行っても先々で断られ、
職に就けてもせいぜい一か月、時には半日ともちません。

「またクビになっちゃった」と家族にも言えず、
翌日、スーツ姿で新宿にある公園に直行。
そこで日暮れ時までベンチで昼寝……という生活を
一か月以上続けたこともありました。

つまり、当時の私は
「やりがいのある仕事がしたい。
けれども体にハンディがあるため、
どこも雇ってくれない」
という究極のジレンマで苦しんでいたのです。

そんな私がなぜモノを書くという天職に目覚め、
それを生かすことができたのか?
脱サラして30年以上もこの仕事を続けてこられたのか?

それは一冊の本との運命的な出会いが
大きく関係していました。

ある日、伯父が「ユニークなタイトルの本を書店で見つけたんだ。
著者は東海大学の教授らしい。キミの恩師じゃないか」と言って、
ある本を手渡してくれたのです。

なるほど、その本のタイトルは確かにユニークでした。

『願望をゼッタイかなえる 信念の魔術』(謝世輝 著、KKロングセラーズ刊
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2021年現在『新装版 信念の魔術』として再発行・発売中

という題名がつけられていたからです。

著者である謝 世輝(シャ・セイキ)という人物は私もよく知っていました。
大学生のとき、世界史を教えてくれた台湾出身の先生で、
物理学者であったにもかかわらず
歴史学者に転身を図るなど、
異色の経歴の持ち主であったからです。

ともかく、私はその本をすがるように読み始めたところ、
そこには人生に希望をもたらしてくれることが
いっぱい書かれてありました。

「絶えず繰り返し想念せよ!
 繰り返し念じるのだ!
 あらゆることが願望達成に
 向かって動き出す!」

「眼前に多くの困難があろうとも、
 いかに条件が悪くとも、
 それらは必ず克服できる」

「あなたは思い通りの人間になれる。
 だから希望を最後まで
 捨ててはならない。
 人生は無限に発展していくようになる」

などといった言葉がそれです。

その後、私は謝世輝先生にコンタクトを求め
(教え子としての特権を利用して・笑)、
直接お会いして指導を仰ぐことにしました。
新宿の喫茶店で何度もお会いしては、
人生を好転させるための秘訣をレクチャーしていただき、
必死になってメモをとったものです。

ちなみに、謝世輝先生から学んだ
人生好転の秘訣(願望達成理論)を私なりに
要約すると次のようになります。

    • 潜在意識には思考を現実化させる力があるため、
      善悪を問わず、その人が強く思い描いたことが
      現象となって現れる。
    • したがって、人生を好転させたければ、
      潜在意識に新しい想念を送り込み、
      新しい業を作ることが大切で、
      そうすることによって新しい人生が
      展開するようになる。健康になり、
      仕事もうまくいき、欲するだけのお金が
      得られるなど、人生はその人が思い描いた
      とおりに展開するようになる。
    • しかも、強く想念することで、
      宇宙に存在する無限の力に目覚め、
      それを吸収すれば、事業が大発展したり、
      不治の病が完治するなど、
      奇跡的な現象を起こすことができるようになる。

その後、先生のアドバイスのおかげで、
ようやく私にも福音の鐘が導いてくれるようになりました。
26歳のときだったと記憶していますが、
ある出版社で新聞記事のリライトのアルバイトをしたとき、
そこの編集長からほめられたのがきっかけで、
モノを書く仕事に目覚めることができたからです。

そのことを先生にお伝えすると、
先生は素晴らしいチャンスを私に与えてくださいました。

「モノは試しだ。うまく書けなくてもいいからやってごらん」
言ってくださり、
当時先生が執筆中の原稿の整理をほんの一部でしたが、
私に任せてくださったのです。

私はアルバイトと並行しながら、
寝る間も惜しんで先生のお手伝いをやらせていただくことにしました。
そして整理した原稿をお渡しすると、

「初心者としてはまずまずだ」とほめてくださり、
続けてこうおっしゃってくださったのです。

「キミは文章を書く仕事に向いている。
その方面で才能を生かしたら、人生も開花すると思うよ」

こうして天職に巡り会うことができた私は
業界紙を発行している出版社に就職を果たすことができ、
それから程なくして想念の力が功を奏したのか、
奇病まで治すことができたのです。

そして、29歳のときに起業し、以来今日に至るわけですが、
60歳を過ぎた今なお現役のライターとして
出版プロデューサーとして日々楽しく仕事を続けられるのは、
ひとえに謝世輝先生のおかげとしか言いようがありません。

つまるところ『信念の魔術』という先生の
ご著書との出会いなくして今の自分はなかった。
人生を切り開くことはできなかった。

そう思うと、私にとってはまさしく運命の一冊だった
といっても過言ではないのです。

〔寄稿/出版プロデューサー・ライター:倉林 秀光〕


倉林 秀光(くらばやし・ひでみつ)

【略歴】

  • 昭和32年(1957)9月28日生まれ。東京都中野区出身。
  • 昭和57年、東海大学文学部文明学科卒業後、
    印刷会社に写植オペーレーターとして勤務して以降、
    転職を繰り返す。
  • 昭和62年、29歳のときに業界紙出版社を経て、
    脱サラ・独立。有限会社おふぃすラポートを創業し、(法人化は平成3年)、
    今日に至る。
  • その間、出版社から委託を受け、400冊以上の本を企画・プロデュース。
    300冊以上の本の執筆を担当。
  • そのほか、企業、団体のカタログ・パンフレット・自社出版物の
    企画・制作を多数行う。
  • また、自らも出版社から7冊以上の本を出版。

主な著書に、
『入門 生まれてはじめての創業』(明日香出版社)
『イヤな仕事は絶対するな!』(サンマーク出版)
『常識のウラを突く! 最強の転職知恵本』(産学社)
『壁にぶつかったときのマーフィー』(すばる舎)
『あなたを輝かせる「天職」はある』(すばる舎)
『望んだことが次々に起こる! マーフィー』(すばる舎)
『ジョセフ・マーフィー 心を強くする41の言葉』(すばる舎)

などがある。

  • 現在は出版プロデューサー・出版コンサルタントとして
    活動するほか、大手商業出版社からの依頼で
    ライティング業務を行っている。
  • 趣味は海外旅行・ハードロック鑑賞・食べ歩き。

 



『新装版 信念の魔術』
謝 世輝/著 定価1,100円(本体1,000円+10%)
ISBN:978-4-8454-5021-3

ダイアモンド☆ユカイさん推薦帯! !
思いは現実化する。運命の糸は自分で操れる!
「信念が強くなれば、何でも可能」といわれるが、ほんとうにそうなのか、なぜそうなのか、
詳しく知りたいと多くの人は願うであろう。本書では最悪の条件の下に奇跡を実現した多くの例について、
なぜ可能であったかを、稲盛和夫、松下幸之助、伊能忠敬、シュリーマン、アンデルセン、ヘレンケラーら偉人を例に、
トラインやマーフィー、アデイントン、シュラーなどの自己啓発書からの引用をふまえて、具体的に解説する。

目次
第一章 「求めよ、さらば与えられん」は本当か
第二章 強大なパワーを持つ〝信念〟とは何か
第三章 全智・全能の実相の真実
第四章 奇跡を生む「信念の魔術」
第五章 願望達成への実践方法


著者について
謝 世輝(シャ・セイキ)本名、河津世輝。
1929年、台湾生まれ。
台湾大学を卒業後、名古屋大学大学院で原子物理学の博士号を取得。
理学博士。元相模工業大学、東海大学教授。
科学の進歩・発展は必ずしも人類のためにならないと考え、
文明・文化史及び歴史学に転身。
マーフィーの法則をはじめとする潜在能力の活用法にも造詣が深く、
独自の世界観に基づく人生論は、
逆境にあえぐ現代人に力強い指針を与えている。
著書に、
『達成力』『言霊の法則』(以上、サンマーク出版)
『マーフィーの成功法則』(三笠書房)
『スーパー世界史』(講談社)『やりなおしの世界史』(オーエス出版)
『世界史の新しい読み方』(PHP文庫)
『たえず強く念じなさい。すべては実現する!』
『「強く念じる人」が運命を操れる』(以上、KKロングセラーズ)など多数。