江戸時代の武士はヒゲ男子であったか?
●現代人はヒゲ男子は少数派

オダギリジョーさんや山田孝之さん、竹野内豊さんなど、一部の芸能人の方は、ヒゲを生やしていることが、
「かっこいい!」として世間から好印象を持たれていますが、
大多数の現代の日本人男性においては、「ヒゲは不潔」「ヒゲは見苦しい」ものとして、剃ってしまうことが当たり前となっていることが多いと思います。
顔がほっそりしていて、ヒゲを整えるなどして、そんな清潔感を持たれる、ヒゲならばOKかもしれませんが、
自由なファッションができる学生や一部のビジネスパーソンをのぞいて、ほとんどの社会人の方は剃っているというのが現状と思います。

そう、現代ではヒゲ男子は少数派であるといえます。

●時代を遡ると……?

明治時代の、明治天皇や伊藤博文、大久保利通など歴史上の有名人の肖像を見ると、
ヒゲを生やしている方が多いような印象も受けますが、その昔の江戸時代も、

・ヒゲを生やすのが流行していたのでしょうか?
・それとも、現代のようにヒゲを剃るのが流行していたのでしょうか?

今回は、時代考証家の稲垣史生先生がお書きになった

『江戸時代大全』(稲垣史生著/KKロングセラーズ)から
江戸時代の武士のヒゲ事情についてご紹介いたします!

●江戸時代初期のヒゲ事情

『江戸時代大全』より引用します。

江戸時代の初めはまだ戦国の風俗が残っていて、ひげのない武士は「女面」といやしめられた。
頭は、月代(頭部前面)を剃るもの、総髪といって月代をそらぬもの、撫でつけといって後ろへたらしたもの、
一束切といって頭のてっぺんで一束に切りそろえたもの、また「がっそう」という自然状態のむさくるしい頭もあった。
頭はまちまちでも、ひげはみんながたくわえた。
顎ひげ、口ひげ、頬ひげのほか、「鎌ひげ」という鎌型に上へはね上げたのもあった。皆、強そうに見せるためである。

なるほど。明治時代と同じく、江戸時代初期には、戦国時代に引き続き、ヒゲを蓄えることがメジャーだったのですね。