百戦錬磨の元刑事が教えるメンタルが強くなる3つのコツとは?

入学、就職、転勤など新たな環境で生活をしたり、仕事が始まる人が増える時期です。

新生活の不安から気持ちがなんとなく落ち込んだり、考え方もネガティブになりがちですよね。

そこで、新しい環境でもメンタルを強くして、元気になれる方法を3つお伝えします。

 

友達が欲しければ裸で接すること
(新生活で友だちを作るコツ)

学校でも職場でも少しでも話せる友達がいると不安も解消され、
気持ちも落ち着きませんか?

とはいっても「人見知りで友達を作るのが苦手」という方もいると思います。

実は「刑事あるある」のひとつですが、同業者以外の人と友達になろうとしても、
刑事というだけで相手に構えられてしまうことがあります。

なにか後ろめたさがあるからなのか、
いろいろ詮索されるのが嫌なのかはわかりませんが、

友人関係に発展することはなかなか難しいのです。

だからこそ、刑事は1回1回の出会いを大事にします。

人付き合いも大事にしています。

そして100人に避けられたとしても、
3人が受け入れてくれたら充分だと考えます。

3人友達がいれば、泣きたいとき、笑いたいとき、
気兼ねなく酔いたいとき、わいわい騒ぎたいとき、
だいたいのことはカバーできます。

では、その貴重な3人を得るための友達づくりはどうすればよいのでしょうか?
それは友達候補には「素で接する」を心がけることです。

つまり、裸で付き合ってみるのです。

これは異性の交際相手を探す場合でも同じことが言えますが、
カッコつけて、本来の自分ではない姿を見せて、仮にフラれたらショックですよね。

本当の自分、つまり裸の自分を見せていたら本当に合わなかったと諦めもつきます。

友達付き合いも同様。最初から裸で接すれば、自分に合う友達か、
そうではないのかが明確になりやすいのです。
つまり、初めから合わない人は自然と離れていきます。
これは自然の摂理なのです。

「本当の自分」を信じてください。

誰かに合わせるとか、自分らしさを封印して友人関係になったとしても、

本当に心を許せる「友」にはなりえないかもしれません。

どうぞ、裸で接することで真の友達を見つけてください。

 

行動を変えること
(新生活で不安や緊張に対処するコツ)

次に不安や緊張で気持ちが落ち込んでいる時、
気持ちをアゲアゲに変えていく方法をお伝えします。

それはズバリ、「行動」を変えるということです。

基本的に刑事が向き合う人間は下を向き、背中も丸くなり、
顏の表情も死んだように暗い人が多いわけです。
テレビなどで連行される犯人の映像を見ると、
まさにそんな様子ではないでしょうか?

犯罪を犯した人は言うまでもなく、気持ち的には最低で、
ネガティブのど真ん中にいる状況です。

心が重力に従って下へ下へと下っています。

ですから、気持ちを高めようと思うなら、心を上へ上へと上げていく必要があるのです。

アスリートが勝負に勝った時、どんなポーズをとるでしょうか。

ジャンプして飛び上がったり、ガッツポーズで拳を上に突き上げたり、
つまり体は「上」に向かっていきますよね。

人間は、気持ちが上昇している時は上へ、下降している時は下へ動きます。

ですから、気持ちが下降している時はあえて上に行く動きをするといいのです。

歩く時は背筋を伸ばして胸を張って歩きます。頭も下を向かずに前をしっかり見ます。
また顏も口角を上げて笑ってみましょう。
小さく消え去りそうな声も大きい声に変えてみましょう。

会社や学校に行く時は胸を張って歩き、
オフィスや教室に入る時は「おはよう!!」と
大きな声を出して笑顔で挨拶をするところから変えてみてください。

そうすることで周囲も触発されて
あなたに明るい笑顔で挨拶してくれるようになります。

明るく元気な人には同じように明るく元気な人が集まってきます。

そうすると、ますます自分も明るくなってきます。

私も刑事時代、期待された成果を上げられなかったり、
失敗をして気持ちが落ち込む時がありました。
その時はあえて自分の動きを上へ上へと変えてみたものです。
そうすると不思議と気分が高揚して元気になりました。
是非、毎日の生活に取り入れてみてください。

 

ポジティブネタを拾う習慣を持つこと
(新生活のストレスに負けない!メンタルを強くするコツ)

最後にメンタルが強くなる「思考」についてお伝えします。

コロナ禍で思うように人と会えなかったり、
行動が制限されているとストレスも溜まり、
考え方もネガティブになりがちです。

実は人質立てこもり事件を担当する部署は
捜査一課の特殊班という係なのですが、
特別の訓練を受けたネゴシエーターが現場に赴いて犯人と交渉します。

このような現場での犯人は極めて
ネガティブな感情になっています。

「もうどうなってもいい」という投げやりな
気持ちを抱えている犯人も少なくありません。

そんな犯人に、更なるネガティブな情報を伝えたら
もっとネガティブになって人質を傷つけかねません。

ですので、ネゴシエーターはなるべくポジティプな
ネタを拾って犯人に投げるわけです。

例えば「人質を傷つけると罪は重くなるぞ」

これはネガティブ情報です。

「捕まったら刑務所に行かざるを得ないぞ」

これも同様にネガティブです。

では、なんと言って交渉しているのでしょうか。

「人質が無事なのはキミのお陰だ」

これはいいですね。

「人質には怪我もないから今解放してくれたら罪は軽くて済むぞ」

これもポジティブでいいですね。

同じ状況であっても、ネガティブな側面を拾わず、
ポジティブな側面を拾って伝えているわけです。

つまり同じ事柄でも、ネガティブな表現ではなく、

ポジティブな表現に言い換えて伝えているということなのです。

 

ネゴシエーターは犯人を少しでも明るい方向に誘導して投降させるのが仕事なのですから。

これは、皆さまの日常にも置き換えられることなのです。

例えばコロナ禍で「入学した大学がオンライン授業になった」という事実を、

「友達もできないし、大学に入学した意味がない」

「毎日がつまらなくて学ぶことがひとつもない」

「せっかくのひとり暮らしなのに、ただ寂しいだけだ」

これはネガティブばかりを拾っている人です。

「リアルな友達ができないならSNSで友達を作ろう」

「沢山趣味を増やして楽しもう」

「せっかくのひとり暮らしだから料理を一から勉強して腕を磨こう」

こちらはポジティブネタを拾っている人です。

どうでしょうか?

目の前に起こっている事実は同じなのに
考え方ひとつで生活が明るくもなり、暗くもなるというわけです。

あなたの目の前には必ずポジティブネタも落ちています。

普段からそれを拾うことを習慣にしたら、
この先どんなことが起きても明るく前向きに生きていけます。

さて今回はメンタルを強くする3つのコツとして

①友達が欲しければ裸で接すること
②行動を変えること
③ポジティブネタを拾う習慣を持つこと

をお伝えしました。

新生活、是非とも前向きに頑張ってくださいね。

 

〔寄稿/一般社団法人日本刑事技術協会 代表理事:森 透匡〕


『刑事メンタル
——絶体絶命のピンチでちびってしまう人でも
動じないハートが手に入る!』
森 透匡/著 定価:1540円(本体1400円+税10%)
ダイヤモンド社 刊

ISBN:978-4-478-11259-5
造本:四六並製

■内容紹介
事生活20年。ガサ入れ、犯人確保、張り込み……修羅場を潜り抜けてきた元警部による、心を強く保つ習慣。死と隣り合わせの環境下で巨悪と戦い、人を疑い、時には一般人に罵倒されながらも正常な心持ちで戦うために開発した、圧倒的自信と活力が楽しく備わる最強メンタルメソッド。その名は、「刑事(デカ)メンタル」!
ダイヤモンド社HPより引用〕

 

著者について

森 透匡(もり・ゆきまさ)

一般社団法人日本刑事技術協会 代表理事

元刑事の人事コンサルタント。警察在籍27年のうち、刑事生活は20年。23歳で巡査部長に昇任し、知能経済犯担当刑事に抜擢。異例のスピードで同期生トップとなる35歳で警部に昇任。多数の凶悪事件、巨悪事件の捜査に従事し、冷静沈着な判断と指揮により事件解決に貢献した元敏腕刑事。また、東日本大震災では広域緊急援助隊の中隊長として福島県に派遣され、福島第一原子力発電所の水素爆発に遭遇しつつも命の危険を顧みず部隊の指揮を執った経験もある。心が折れそうな数々の現場経験から強靭な精神力を培う。

現在は大手企業、経営者団体など毎年全国180か所以上で講演・企業研修を行い、これまで7万人以上が聴講した。2020年には大手講師派遣エージェントより全国1万人以上の講師の中から人気№1講師に選出される。

日本テレビ系「月曜から夜ふかし」、読売新聞、日経新聞などメディアへの出演、掲載も多数。

著書に『刑事メンタル』(ダイヤモンド社)などがある。